ルイが口をあんぐりと開けて自慢げに見せてくれたのは、飴玉だった。
青くてキレイな飴玉。 「いいでしょう?」とルイは笑った。
「これ、ずっと消えないの。だからわたしもう3日はずっと舐め続けてる」
「消えないの?」
「そう」
「なにそれ、変なの」
「ね、わたしも最初そう思った」
「どこで買ったの?」
「なんか、真っ黒いスーツきたおじさんから、」
そのあと、すごく優しい顔のしたおじさんでね、と付け加えて
「雨があがるのを、コンビニで待ってたら くれた。」
「へー。おじさん」
「おじさんというより、おじいさんかな?」
「それいつの話?」
「んー、一週間くらい前かな。こないだポケットにそれはいってたの思い出して」
「で、食べたと。消えないと」
「そういうこと。それにね、これ喉乾かないの」
「…なんか毒でも入ってるんじゃないの?」
「えー、大丈夫よ。なんともないもの」
「ていうか、よくそんな知らない人から飴なんか貰ったね」
「うん、おじさんほんとうにいい人そうだったから」
そういいながらも、ルイの舌では飴玉がころころ転がっている。
変な飴。そのうちルイの体になにかおこったりして。
例えば、体が小さくなるとか。 時計うさぎとの追いかけっことか。
「ねえ、それ出してみてよ」
「いいけど、なんか少し汚くない?」
「まあこの際いいよ、気にしない」
ルイはごそごそと、鞄の中に入ってた空のお弁当箱の蓋をあけて、
ころり、と口のなかにあった飴玉を出して見せた。
すると飴玉はどんどん溶け出して、というか液化して、
キレイな青は、水になって、ぽんっと弾けるようになくなった。
一瞬のことにわけがわからなかった僕らは顔を見合わせてると、
上からぽつりぽつりと雨が降ってきた。
その勢いは、どうやら 強い。
「あそこ!あそこのコンビニ行こう!」
とルイがお弁当箱を持ったまま叫ぶので、僕もそれに従った。
冷たい雫に襲われる中、僕ら2人、わけもわからず走った。
「はー、もう、なにこれ!」
「なんでこんないきなり雨…あめ?」
「あめ?」
「飴と……雨?」
ふたりであっはっはと笑った。
くだらねー、とか、おやじ!おやじギャグ!とか言いながら。
ふたりで一枚のハンカチで必死に拭いて、
雨があがるのを待つことにした。
雨があがったら2人で飴を買って帰ろうと約束して。

