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だけれど他の誰でもないアナタの為に
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転校生だったあのころのわたしに、この街を、
この街のおもしろさを教えてくれたのは彼だった。
彼と一緒ならどこへでも行ける気がした。
川も越えたし、山へも行ったし、海で一緒に砂のお城を作ったりもした。
星空を見に行ったこともあった。
「おれのひみつの場所」と、教えてくれたそこから見た星空は
今でもはっきり やきつくように覚えててる。
ティンカーベルの魔法みたいに、この星くずをあびれば空だって飛べる気がした。
彼がつなぐ私の右手から感じる揺るぎない鼓動のリズムにのれば、きっとどこへでも行ける と。

そんな彼が、そんな昔のことが夢に出てきたのは、昨日届いた同窓会の葉書のせいだ。
たぶん、いわゆる初恋とは、わたしにとってきっと彼なのだろう。けっこうイケメンだったし。
中学を卒業してから彼はこの街からずいぶん離れた高校へ行き
それから数年連絡はとっていたけれど、今じゃメールアドレスも知らない。
どこへいるかも、わからない。
彼と同じ高校へ行った子から聞いた話によると、
けっこういいところまでいったバンドを解散し、今ではふつうのサラリーマンらしい。
きっともう彼はあの頃の姿じゃない。
夢を追いかけるあの星くずのような少年ではないのだろう。

だけれどわたしはそんな彼の、今の彼の話を聞いてみたいと思った。
元気にしてるの?守るものができたの?お酒も飲めるようになったしね、なんて。
そうして、あの星空の話になったらきっと彼はまた、あの頃の笑顔で笑うのだろう。
わたしの手をひいて、永遠を教えてくれた、あの時のような。

ピーターパンはもういない。
だけどあの日見た星空は消えない。忘れない。
だから、さよならなんていう必要はないのだ。
わたしはゆっくり、同窓会の案内の「参加」に、丸を描いた。
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